Gメン!感じるな、感じろ。
愛すべきバカことG組の彼らと一緒に笑いあえる最高の夏!!!!
事前の情報からどうにも大好きな戦隊のにおいがするぞ!と期待半分、漫画原作実写化の様々な恨みにより不安半分だったGメン。
面白え方にぶっちぎり一位だよ。
誰だ不安とか言ってたやつ。僕だ。
令和戦隊は特に展開の速さやアクションのテクニックも上がって好きな作品が多い。
予想通り、振り返る隙を与えない展開の速さと勢いに2時間の上映時間は体感10分だった。
登場人物の心情を軸にして場面の切り替えをしたり、カメラを回転させながら画を捻って現在地を見失わせたりと時間の圧縮力がストロングスタイル。
そんな爆速進行でも話の流れを見失わないのはストーリーの時間が真っ直ぐ進んでいるから。
回想は必要な所だけ、短く。画面四隅を暗くして色収差の効果。パターンでここは過去です!の主張がある。
画面の奥で動いていた事が繋がって大きな話になるのも良かった。肝田がチーコの髪をかいでる→プロレス談義→他人紹介の仲に、みたいな。
時間軸に対して生真面目なのが良い。ただでさえごった返してますから、ストーリーが実直に進行するのはストレスフリーです。
圧縮しまくってるから無駄がないし、観易い。手練れの味わいがする。
さらに実直な点で着目したいのは、やはり伊達の下りであったり下ネタの下りですかね。
漫画連載当初は2010年代。その時はその時なりの良さがあったと思いますが、当時のノリのままやると事故ってたでしょう。
伊達は勝太の反応が周りと違うから不思議な生き物を見ている目を向けていた。超人なのが当たり前なのに足折れてないか心配してくれるし、お構いなしに啖呵を切る。
ゲイであるのもそうだが、偏見を超えて真っ直ぐぶつかる様がシンプル嬉しくて好きになるの分かるよ。
なんなら伊達の告白に「女の子の方が〜」ではなく「ドキドキするのは〜」と答えていたのがより好ましい。
勝太は「本当にいいやつ」の補強になってて素晴らしかった。琴線に触れると手が出るタイプではありますが、そこはヤンキーもの要素と言う事で棚上げ。
好きは優劣じゃない。真っ当に怒る。
勝太は真っ直ぐに相手の気持ちを受け止める。その地に足ついた印象はバカやって散々下ネタが飛び交っても人として踏み外さない大きな軸。
人の大事な気持ちを彼はコメディ作品でありながら、ちっとも笑わない。
どのシーンもじっと見つめてくる勝太の瞳に真心があったな。
恋愛も女の子大好きだが手順は踏む。大切に思う人を傷付かせたくない、そんな事したら許さねえってんだよバカヤロウ!なんだよな。かっこいいなあ。
これに限らず、ヤバい事してる人にちゃんとツッコミ(反論)がはいるのでモラルセンターが割としっかりしてました。
ここまでの土台があって初めてコメディが楽しめる。
いかに心を開けて笑えるだけの好感度があるか。
コメディの話をしよう。
なんと言ってもGメンはしっかり笑えるコント集と言っても過言ではない。
役者陣が全力で面白えのは俺!をやってたのが伝わる。
アドリブに振り回されて訳が分からなくなっている天然岸優太!
天然の美味しいどこどり竜星涼!
ボケもツッコミもお任せあれ着火剤矢本悠馬!
比較的まともだが昭和ネタ天ドン森本慎太郎!
芸人のテンポ感でプロいじられりんたろー。!
G組最高!キャラが立ってて、みんないい奴らなんですよ。役者陣みんな好き。
アドリブをかまされて役者が素で笑っているのを本編に思いっきり組み込むの初めて見ました。
この手法?これ自分的には凄くヒットで「誰かの笑いにつられて笑う」がスクリーンと観客で作用するのが面白かった。
役者が面白がってるのを感じられる。その空気を観客って結構察するもんなんだなって。
舞台でも観客の反応で役者が気持ちよくパフォーマンスするとまた一層盛り上がる。そう言うナマモノ感が映画と言う一方的なメディアでもあった。
ちゃんと映画のリズムが観客を乗せてくれたからこそでもある。この映画、楽曲も大変主張があってノリが良いのですが、音ハメで客をノセてくれてるんですね。
このリズムに身を任せてたらご機嫌な奴らがやって来て、ゲラゲラ笑ってる空間に居たら聞き流してたのに自分も笑うみたいな感じでした。
アメリカのホームドラマ、所謂シットコムで「HAHAHA」が入れてあるのにシステムとしては近いか?本当に笑っていて、普通ならNGなシーンを使っているのでより自然な誘導でした。
自分が笑けた場所TOP3!発表!
・出会い頭フー
岸さんガチ笑いやんけ、とツッコミを入れつつ笑わずにいられない。
・ちんちくりん合戦
伊達が認める時に詰まってるのがシンドイのよ。
・肝田マスク参上
要素の全部がオモロくて最高。実際は4分歌ってたと聞いて更にウケた。
予告で吹き出したのは110でした。出オチ感たまらん。
あと自動運転の時代とかハモろうよ〜も好きだな。
まあ大体笑いどころで笑ってますね。
ただ、やっぱ下ネタよりキャラがバカなことやってるほうが楽しかったから、そこに力む事ないな。
キャラクターを好きになってもらう事を重視しているのはキャラ紹介とかしてるので伝わる。
映画の内容は若干のとっ散らかり感があるのだけど、一本芯が通ってるのはキャラ。キャラに嘘がない。
キャラに生き血が通っていれば突飛な行動も納得いく。(反対の状態は物語の為の駒として登場人物が動く事。良い悪いではなく、作り方の違い)
これ僕はff15商法って勝手な括りに入れてる。
6人目の仲間として画面を通して彼らに寄り添う。
キャストによるG組のわちゃわちゃ動画とか、役者とキャラをラップさせてより現実に近い存在にしてた。
エンディングのオフショットもその一貫だろう。
好きになった愉快な奴らの愉快な行動。それだけでたまらなく楽しい。
キャラを好きになれた人はめちゃくちゃ評価が高くなるタイプの作品。
最後にアクション。
戦隊シリーズ好きなもので、1番盛り上がった点です。
全部好きで話がまとまらない。どんどん行こう。
最初のアクションシーンは勝太が強い事を魅せる。
作品全体からすると大振りのアクション。漫画的に人が吹っ飛ぶ。この後のvs3年でも同じ。
自分が盛り上がり始めたのは神社から。
突然仕掛けられて最初は防御から入る。勝太はスイッチが入るまでは「いなす」それが本当に強い奴ムーブで好き。
瀬名はすごい「足」だったな…。二次元頭身でタッパがあるからすごい、足。
踵落としですかね。足の長さが威力そのものに見えてかっこよかった。
でもこのシーンで印象に残ったのは負けた後のオロオロした目。「違う」って分かった顔。仲直り出来て良かった。
ゆうなちゃんを気にしながら後退する勝太も気に入ってる。気にしてたよな?(何度も観てるけど人は主観で観る悲しき生き物)喧嘩してても周りが見えてるタイプなの良い。松永から逃げてる時、レイナを優しく誘導してる手の仕草も注目です。
そしてそして、中間テスト。
ここも防御から。パンチが飛んでくる瞬間両手でガードした所。プロボクサーの速さ。目線も伊達ガン見。
標的から目を逸らさないのが戦いでは大事。ここの勝太は伊達がとても強いので瀬名の時より集中度上がってます。
ワイヤーを使ったアクションも出てくる。3年は強さをアクロバットな画で見せて「伝説のGメン」に説得力持たせてるのかな。次元の違いはワイヤーで。
公園での告白と丁度よくポップアップするヤンキー。
名もなきヤンキーと化したエイトボール。もといアクション部の皆様。ここヤバかったです。
紫の人、階段落ち2回くらいしてない?そもそも階段で、手摺りから落ちたり、激しくて気合い入ってる。力入った。しかもそこで掛かるランラン。
夜明けの前(昼)の公園で、まっすぐで、すこやかで、まっとうで、しょうじきな心に触れた伊達は青空と青草をバックにランランとヤンキー吹っ飛ばしながら降りてく。
気分が良過ぎるだろうがよ。
更に勝太はブランコを使ったアクション。現地にあるものやセットを生かしたアクションほど燃えるものはないね。支柱を軸に蹴り技を繰り出すのも気持ちいい。岸さんの身体能力の高さよ。
作中トップクラスに盛り上がったアクションはブランコごと蹴りが入り、鎖がチャリチャリ鳴っているところです。金属音が入ると緊張感増す。インパクトが音として残るのもいい。すげー好き。
瞳先生を助けるシーンでは勝太と伊達による2人はプ……背中合わせって良いよね。
なんと言ってもテーブルスライディング。速いんだこれが。ここだけ何度も観たい。テーブルから力抜きながら降りるのも好みの男過ぎる。
瀬名のやられっぷりも良い。それはもう雨宮先生も思わずギュッとしますよ。アクションはやられてる方が頑張らないと盛り上がらない。流石、キョウリュウレッドって感じた。
特撮通った役者はやられるの自然に上手いから良いよね。(サンプル少ないですけど、知ってる限りだと頭一つ抜けてる印象)
勝太とレイナが松永と鬼ごっこ。一気に話が展開していく後半戦の序章。
路地裏ではカメラが小さく揺れながら逃げる二人ににじり寄って行く緊迫感。
手下に見つかるや狭い場所でごった返した応戦。からの蹴りでガードフェンス倒れるの興奮した。
厳密な名前分からないんですが、前蹴りの足裏当てる版。ヤ○ザキックの中段版。ちょい柄の悪い蹴りが大好きです。ありがとう。瀬名も天王会戦でやってて嬉しかった。
アクションの話からズレるが、薙が倒れて来るシーン。勝太はすぐ近寄るのに薙から離れて柱にくっ付いていて「仲間が怖くて」近寄りたくない気持ちが仕草に現れていた。カメラもずっと揺れていて不安を表している様に思えた。
そんな一人で抱え込んだ勝太に八神が語り掛けるのがグッときたな。ちょっと勝太泣いてますよね。スマホ取るのも慌ててる。
そこから天王会戦で瀬名が来て、梅田が、薙が、音楽も軽快な仲間とはしゃいでいたものに切り替わる。
コテコテ演出大好きだ。もう大丈夫。安心してアクション楽しんでね、の合図。
更に肝田が登場して今作最高のカメラワークが始まる。
肝田のプロレスで見せる位置が変わり、梅田の豪快な机割りから天王会の人を流がす動きに連動したカメラワーク、肝田の絞め技、カメラ移動して瀬名の蹴り、カメラ戻ってさっきと違う技をかける肝田。
この後が最高で、瀬名が「来いよ」と言いながらフレームアウト、梅田フレームインして突撃の移動に合わせてカメラが梅田の背後に居た薙へ焦点を変える。
カメラワーク最高過ぎてヤバかった。ヤバかったよ。
滑らか。肝田の締めも最高。みんな主役だ。好きだ。
天王会戦第二ステージでは勝太のソロステージでございます。
天王会の皆様が黒服なので、上着を脱いでワイシャツの勝太は視覚的に埋もれない。動き全てが見れて親切設計。
加藤にキレてる勝太は後ろから攻撃を受け、バランスを崩してもすぐ持ち直す。持ち直せる体幹エグい。
最初は防御からの勝太の手加減なしな攻勢。足技で華麗に引き摺り落としてもタコ殴りするし、されるし、泥試合です。
原作だと勝太はパンチが強いイメージなんですが、映画では足技も多く、アクションの種類も手数もあって非常に華やかですね。
合流したG組とGメン。仕切り直して最後の戦い。
喧嘩とか祭りとか言えない。悪が悪としてやり切っているので戦いです。勝太はヒーローなんです。
赤いスニーカーの勝太と八神。新旧「赤」が揃った。
そして伊達の見せ場とG組から瀬名が一人このステージでカットがある。他三名とは明確に扱い違いますね。
勝太と八神が「赤」なら「青」は瀬名と伊達ですから、そう言う赤青バディの図を見出しました。
音楽に合わせて八神が殴り、殴られた勝太にカメラが切り替わるところ、あまりにも気持ちいい。
凄く動く田中圭さん新鮮で別の感動があった。もう役者みなさんほぼ自分でアクションされてますよね。吹替えはバイクと車くらいだと思ってる。
瀬名もそうだし加藤とも素早い攻防をする勝太。岸優太あんたが優勝。攻撃をかわすのにバク転までするし、加藤のコート捌き、ひらみも綺麗で二人が踊ってるところずっと観たいよ。
怒涛のアクションあまりに好きでどうにかなりそう。
アクションシーン全部良かった。たっぷりあって最後まで余さずパワフル。個性豊かなファイトスタイルはキャラクターを一層引き立てて、シルエットと動きでその人と判別出来るレベル。
好きー!
好き過ぎて一時停止しながら誰かに「ここ!」「ここ!」って話したい。2時間の映画を5時間にさせる。
締めよう。
エンドロールが過去一好きな映画でもあって、素直に好きって言えないピュアな勝太とレイナがずっとはしゃいでいて、もう半分くらい岸さんと恒松さん自身なんですよ。可愛かったな。
1番最後のとこもそう来たか、みたいな愛情表現でにやけが止まらんね。
そしてメイキング、オフショットも入れる。ボツにしたカットもあり、本編に使わないのが正解なんだけど、それも観てみたかったやつでお得感増し増しでした。
仲が良い現場だったのが伝わりますね。
この映画を見終わって漠然と楽しかった記憶を抱えて帰路に着けるのは、映画が終わってもこの世に生きる役者の中にGメンの皆んなが居るのを確かめられたからかもしれない。
寂しくない。また会える。
きっと役者が死ぬまで僕はGメンの彼らを思い出し続けるだろう。